30代女性 神経処置後の痛みを根管治療と外科的処置によって改善させた症例
こんにちは!みらい歯科クリニックです☆
猛烈な歯の痛み・・・辛いですよね。虫歯が大きくなってしまうと歯の中にある神経にまで虫歯菌による感染が及んでしまいます。そうなると、歯の中の神経が炎症をおこし、強い痛みや歯のシミが生じることがあります。その場合、歯医者さんで歯の神経を除去して痛みを取ることになります。通常であれば、神経の除去を行えば痛みは取れるはずなのですが、稀に様々な理由で神経の処置後にも歯に痛みが残ってしまうことがあります。。。
今回は、他院にて神経処置後に歯の痛みが改善せず当院に来院された患者様に対し、根管治療ならび外科的処置にて状態を改善させた症例を報告します!
年齢・性別:30代女性
主訴:神経処置後の歯が咬むと痛い
初診時経過:数ヶ月前に他院にて虫歯が大きかったために小臼歯の神経処置を行った。根の治療が終了し被せ物まで装着したが物を咬んだ時の痛みがとれず、当院にセカンドオピニオンで来院された。
初診時レントゲン写真
右上第一小臼歯に根管治療が行われています。根尖部には骨の吸収が生じているように見られます。一見、根管治療は十分に行われているように見られますが根尖部付近まで根管充塡剤(根の中に細菌が侵入しないように蓋をする薬でレントゲンでは白く棒状に写る)が挿入されています。他院にて神経の処置を行っている時は処置中に常に痛みを感じていたとのこと。
初診時CT写真
根尖部の形態は開いており、根管充塡剤が根管から外に飛び出してしまっています。
診断:過度な機械的清掃による根尖の形態破壊と根管充塡剤の溢出が原因の根尖病巣
治療方針:再根管治療ならび歯根端切除
治療経過:局所麻酔を行い、被せ物を除去し、根管治療を開始した。5倍拡大視野にて根管内にある根管充塡剤を丁寧に除去していった。全て除去した後に根尖を確認したところ、術前の画像診断通りに通常よりも根尖の形態が過度に開いており、根尖より根管充塡剤が飛び出していた。飛び出した充填剤は根管内から除去できなかったため、外からのアプローチで除去することとした。
後日、局所麻酔下にて根管内を十分に清掃した後に新しい根管充塡剤をMTAシーラーを用いて挿入した。同時に歯肉を切開し飛び出した根管充塡剤を掻爬し、露出した根の一部を切削し根尖の形態を修正し、縫合して終了とした。
術後経過:処置後1週間より痛みは改善した。念のため、仮歯を作成し2週間程度咬んでもらって様子を見たが、痛み等なく順調であったため、再度被せ物を作成し終了とした。
治療期間:約3ヶ月
費用:保険治療範囲内
総括:根管治療におけるトラブルは歯科において最も多いように思います。根管治療は非常に精密な治療である上、確実な無菌的操作が必要となるため、どの歯科でも当たり前に行われている治療ですが患者様が思っている以上に高度なテクニックが必要となります。近年の根管治療は、拡大視野の進歩や清掃道具の進化、優れた根管封鎖薬剤の出現により革命的な技術的進化が起きています。今までであれば抜歯に至っていた歯も保存できるようになってきました。もちろん全ての状態の歯が治る、というわけではありませんが。。。
今回の症例においても、神経処置を行う時に根管の形態や長さを正確に把握し、適切な術式の根管治療を行っていればこのような状況にはならなかったと思います。
当院は根管治療において、可能な限りの無菌的操作は当然の事、様々な先端根管治療器具を使用し、時にはCTなどの画像精査を利用して多種多様な根管の形態に応じて真摯に向き合っております。
知れば知る程本当に難しい根管治療ですが、患者様が治療後苦しむ事のないように精一杯精進していきます☆