30代女性、歯の神経まで進んでいる虫歯を取り除き、歯の神経を取らずに保存した症例

  • 30代女性、歯の神経まで進んでいる虫歯を取り除き、歯の神経を取らずに保存した症例

こんにちは!みらい歯科クリニックです♪

皆様、こんな経験はありますか?『別に痛くはないけど歯に穴があいていたから歯医者さんに行ったら、神経まで虫歯が進んでいると言われ、神経を取ってしまった』

痛みを感じる閾値は人それぞれ違いますので、神経まで虫歯菌が進んでいなくても痛みが出る事もありますし、逆に神経まで虫歯菌が進んでいても痛みが出ない事もあります。

とはいえ、神経取るのイヤですよね?神経を取ると歯の寿命は確実に縮まります。歯医者だって本当はそんなことしたくありません。しかし、感染した神経は取らないともっと大変な事になることがありますから取らざるをえないのです。では、神経を残すためのは一体どうしたら良いのだろう・・・

当院では、今年に入って新しい取り組みとして、従来なら神経を取っていた歯を、特殊なセメントを使用して神経を保護し、出来る限り神経を温存する処置を試みています。

実際に4ヶ月程で50例近くの処置を行い、その経過が凄く良いので、代表症例をご紹介しながら説明していきたいと思います。

 

年齢:30代女性

主訴:詰め物が取れた

所見:視診ならびパノラマレントゲン写真から、取れた詰め物の下は大きな虫歯になっていました。

痛みやしみる症状などもないため、神経組織は健康であることが予想されました。

治療経過拡大鏡を使って虫歯をしっかりと除去し、神経が露出してくるようであればMTAセメントを使用して神経を温存する直接覆髄法を行う事としました。

局所的に麻酔を行い、痛みのない状態で虫歯を除去していきます。

ある程度虫歯が除去できれば、唾液が入ってこないように防湿を行います。この防湿がポイントなのですが、お口の中には無数の細菌が存在します。腸内細菌の次に多いと言われています。治療を行う際に、唾液は治療の敵になります。唾液を歯の中に入れてしまうと、せっかく感染していない健康な神経も感染してしまいます。なので、当院では、神経を温存する直接覆髄法や根の治療を行う場合は必ず簡易防湿を行い、出来る限りの唾液の侵入を防ぎます。

歯の治療の成功・不成功は無菌的な処置に関係があると私は考えています。今後は、完全な防湿を行うため、基本的な治療にラバーダム防湿を用いる予定です。

簡易防湿をした後に、虫歯を染め出す検知液を用いて慎重に虫歯を除去していきます。完全に虫歯を除去すると、内部より歯の神経が露出してきます。神経は血管を有する組織なので、健康な神経であれば必ず出血してきます。ここで、出血が確認できたため神経は健全であることが分かります。

このまま、詰め物などで蓋をしてしまうと刺激により神経が死んでしまいます。なので、十分に止血を行った後に、MTAセメントと呼ばれる特殊なセメントを用いて神経を保護していきます

MTAセメントは、近年様々な歯の治療で使用されている先端材料です。極めて封鎖性が良く、高い生体親和性を有するため歯の神経を守るため最も優れた材料と言えます。

MTAセメントは硬化するまでに時間がかかりますので、硬化まで待ち、その後詰め物で窩洞を蓋していきます。

1週間後にレントゲン写真を撮影しました。痛みやしみる症状はなく、歯の周囲組織の炎症反応も認めません。現在も症状無く、経過は良好です。

施術時間:45分

費用:約3000円

総括:神経を温存することは、歯の寿命を伸ばす意味で非常に大切です。できる限り無菌化した状況で、慎重に処置を行い、先端材料を使用することで神経の温存が可能な場合があります。しかし、神経は非常に繊細な組織ですので、必ずしも全ての神経を守れる訳ではないと思います。処置後は、『これで終わり!』ではなく、しっかりと歯の状況を定期的に観察していく事がとても重要であると思います。