顎関節症・かみ合わせの治療
上下の歯の噛み合わせは食事のしやすさや見た目の問題だけではなく、実はその人の身体全体の健康にも関わってきます。噛み合わせが悪くなるとまず顎に痛みが出るようになり、それが筋肉や神経を伝わって肩凝りや片頭痛を引き起こします。それだけではなく全身の筋肉痛や手足の痺れにもつながるため、噛み合わせが正しくないなら治療を受けることをおすすめします。
噛み合わせチェックリスト
日々の暮らしの中で覚える口や周辺の違和感は実は噛み合わせの悪さに原因があるかもしれません。
以下の症状が見られる人は何らかの噛み合わせの不正(噛み合わせが乱れていること)が起こっていることが考えられます。
- 口を大きく開けられない。
- 口を開けると痛みが出たり、関節が鳴る。
- 睡眠中に歯ぎしりや食いしばりの癖がある。
- 治療していない虫歯がある。
- 片側の歯で咀嚼する癖がある。
- 食事をすると顎が疲れるときがある。
- 上下の顎の中心にずれがある。
- 写真に写る顔がまっすぐではなく歪んでいる。
- 口角が下がっている。
- ほうれい線の位置や長さに左右で違いがある。
上記の1~5のうち、当てはまる症状が1つでもあるなら顎関節症を発症している可能性があります。
6~10のうち、当てはまる症状が1つでもあるなら、噛み合わせの不正が原因で顔の筋肉のバランスが乱れているかもしれません。
噛み合わせ治療の流れ
噛み合わせの不正を原因として身体の不調や顔の歪みが出ているならば歯科医院での治療を受ける必要があります。以下のような手順で治療を進めていきます。
- レントゲンを用いた噛み合わせの正確な計測
- 計測結果を元にしたスプリント療法(マウスピースなどを装着する治療)
- 詰めものや被せものをする補綴治療(必要に応じて行います)
- 噛み合わせを再び計測し、必要なら詰め物などの高さを微調整する
- 3~6か月毎のメンテナンス
スプリント療法
顎関節症に対する治療の一つとしてスプリント療法があります。スプリントとは『レジン』という歯科用プラスチックでつくられた口内に装着する器具のことを言います。その器具を日中や就寝時などに装着していくことで噛み合わせを正していくのです。
このスプリントは種類が主に三つあり、それぞれ患者様の状態に合わせて使い分けていきます。スプリントは基本的には保険診療で作製することが可能です。
噛みあわせとボトックス
ボトックス(ボツリヌストキシン)注入治療は注入した箇所の筋肉の働きを弱め、以下のような症状を緩和させることができます。
- 歯が欠けやすかったり、歯が折れたりしやすい
- 歯周病を発症しやすい
- 顎関節症を発症しやすい
- エラが張ってくる
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は歯に体重の1.5倍近い力が加わっていると言われています。またエラが張るのは頬にある咬筋の発達が原因だとも言われています。ボトックス注入を行うことでそれらの力や働きを緩和させることができるのです。
ボトックス(ボツリヌストキシン)注入治療
ボトックスを注入された咬筋はそのはたらきで徐々に委縮していき、エラの張った輪郭を小さくさせることができます。1回の注入で効果は通常なら4~6か月ほど持続します。
顎関節症の治療にも有効なボトックス注入
顎関節症の治療は従来ではマウスピースを用いたスプリント治療が主流でしたが、現在ではボトックス注入治療を行うことでその症状をより早く改善させられることがわかってきています。
人体に優しいボツリヌストキシン
当院で採用しているボツリヌストキシンはその効果と安全性が世界的に保証されている“Neuronox社”製のものです。顎関節症治療において多くの成果を挙げています。
ボトックス注入治療 Q&Aコーナー
- Q.ボトックス注射は痛みを伴いますか? また治療後はすぐにメイクをすることができますか?
- A.注入を行うエラ部に表面麻酔をするため、治療時に痛みを感じることはほとんどありません。 注射針も歯科治療時と同じ極細のものを採用しているため跡はほとんど残らず、術後すぐにメイクをしていただけます。
- Q.一回の治療で効果はどのくらい持続しますか? 定期的な注入が必要なのでしょうか?
- A.個人差もありますが注入の効果は通常なら6か月ほど持続します。定期的な注入が望ましいですが、ボトックス注入は咬筋の筋力そのものを減少させるはたらきがあるため、注入の間隔を徐々に延ばすことができます。またマウスピースを用いた治療を併用することで注入回数を減らすことも可能です。
- Q.副作用はありますか?
- A.アメリカ国立衛生研究所によってボトックス注入治療の効果や安全性は実証されているため、副作用を心配することなく治療を受けていただけます。アレルギーテストの必要もありません。